お家のこと⑳ ~その引っ越し業者は適正か その2~

お家のこと

さて、サカイ引越センターを断ったその日の夜は、アーク引越センターが見積もりに来ることになっていた。

その日の夜に現れたのは、40代くらいであろう、少々背格好はいかついが愛想の良い営業マンであった。

同じように一通りの荷物を確認した後、こちらの予算も何も聞かず、さらさらと見積もりの金額を書いて寄越した。

その金額は6万円台。

昨日のやり取りをした私は驚いてしまった。予算も10万円くらい見込んであったのに。素直に驚きの声を上げてしまったが、話を聞いても、特段変に手を抜くような様子もない。

愛想の良い営業マンは「他の引っ越し業者にはもう見積もりしてもらったのですか?」と聞いてきたので、昨晩にサカイ引越センターに来てもらったと伝えた。すると、

「背の高いイケメンが来たでしょ」

と。意味が分からず、ぽかーんとなってしまった。引っ越しの見積もりに顔の良し悪しなぞ欠片も関係ないので、昨晩来た強引なお兄さんの顔がどうであったかなんて気にもしなかった。まあ、背は並みより高かったかもしれない。

そこで私はふと思った。そうか、同業者がその若手営業マンをそう評するということは、女一人暮らしの家にそのイケメンらしい営業マンを派遣させ、さも安い値段を提供したと思わせ、他の業者の垢が付いていないうちに、契約をもぎ取る作戦だったのではないか。

もちろん思い過ごしかもしれないが、今目の前にいるアーク引越センターの愛想の良い営業マンは、結論を一つも急かさなかった。他のところにも見積もりを取ってもらって、検討してくれれば良いと。

ここで私の結論は出た。

もう一社くらいは見積もりをお願いしようかと思っていたが、イケメンらしいサカイ引越センターの若手営業マンは一つだけ良い事を言った。あまりたくさんの所に依頼するのも疲れるでしょう、と。

事実、私は2社のこのやり取りだけでかなりお腹いっぱいであった。そして、アーク引越センターが、私の予算よりも大幅に下回る金額を提示してくれたので、ここに決めることにした。

その後のやりとりも、段ボールの配送も、当日の引っ越しも実にスムーズに済み、何一つ不満に思うことはなかった。養生もしっかりしてくれたので、新築の家にも傷一つ付いていない。重い荷物を運んでくれるお兄さん、おじさんには感謝しかない。

ちなみに、十数年前にも引っ越しを請け負ってくれたアーク引越センターの段ボールは、引っ越し先アパートの押し入れの整理棚として使っていた。そう、十数年も。

今回はその役目を終え、そっとその段ボールを畳んだ。長い間、ありがとう。

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