内装となると、毎日嫌でも目にするため、壁紙や床やドアなどを選ぶのは非常に迷うのではないだろうか。
私はもともと、旅先で宿泊したリノベーションした古民家が素敵だったため、それに近いようなテイストにできないかと考えていた。
その古民家は壁が白く、床が黒に近いほどのこげ茶色で、ところどころに同じ色の柱が白い壁に埋まっていた。そのコントラストと落ち着きに癒された。
床や扉が明るい色であればあるほど部屋が広く見えると言うので、白やナチュラルな木の色の床も、それはそれで捨て難かったが、あえてダークブラウンの床を選んだ。
これと色味を合わせた扉は、多少威圧感もあるといえばあるが、結局はカーテンやソファなどの色に部屋が彩られ、その背景で主張する落ち着いた色の床と扉は、どっしりとした安定感のある空間を作ってくれた。
白が好きな友人たちの家に遊びに行ったことがあるが、床も壁も扉も全面白色で統一されたお家たちは、シンプルで明るくて、ちょっと非日常的なオシャレな空間だった。もちろん広く見えて素敵ではあったが、私にとっては足が地につかないような、ふわふわした気分だった。
私は、自分の家の、安定感のある感じが好きだ。
ところで、いきなり話が飛ぶのだが、認知症になってしまうと、空間を認知する力も衰えてしまうそうだ。
どういうことかと言うと、家の中だと、壁も扉も同じ色だと、そこに扉があるということを認知できなくなるらしい。それは困る。
それを知ってから自分の家の壁と扉を見て、うん、まずこの白とこげ茶のコントラストでは間違えることは少ないだろうと、変に安堵した。
私が一番悩んだのは、壁紙だった。
少し遊びを入れようかと思っても、万が一とんでもない仕上がりになってしまっては、せっかくの家の中でくつろぐことができない。小さな見本から、部屋全体の仕上がりを想像することは困難だった。
結局、終始無難な選択に終わってしまったのだが、トイレの一面だけブルーグレーの色に変えた。
これはこれでとても良いアクセントになり、オシャレさと清潔感が増して、トイレが好きな空間となった。
壁全体でのチャレンジはハードルが高いが、こうした一面だけ遊び心を加えるのは非常におススメである。
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